高齢者の見守り電話ヒアリング専門 ぐれいとふる・まざー

助けてくれる人を見つけるために、親を知る

time 2020/05/28

助けてくれる人を見つけるために、親を知る

高齢の親と離れて住んでいて、ちょっと心配になってきた。でも、自分はなかなか会いにいくことができない。誰か両親の近くで助けになってくれる人はいないだろうか。そう思ったことはないでしょうか。

地域包括支援センターや自治体の福祉担当部署、地区担当の保健師さん、また、社会福祉協議会や民生委員さんなど、助けになってくれる機関・人はどの地域にもあります。しかし、「電球を交換したいけど届かない」というような、ちょっとした手助けや日々の見守りとなると、人手に限りのある公的な機関にすべてお願いするのは、なかなか困難なのが現実です。

なので、ちょっとした手助けをしてくれて、親に心配な様子が見られたときに連絡してくれる、そんな人を探しておくとだいぶ安心です。

 
「どうやって助っ人を探せばいいの?」という疑問が出てきますが、答えはシンプルです。まずは親のことを詳しく知る。これが必要です。

 
例えば独居高齢者の訪問を行う相談員さんなどは、訪問先の高齢者の方とお会いした瞬間から「この人はどんな人なんだろう?」と情報収集を始めます。どんな人かがわかれば、本当に困っているポイントはどこか、リスクは何か、解決するには何に、誰にアプローチするか、助けてくれそうな人がどこにいるのか、などいろんな情報を見つけることができます。逆にいえば、高齢者ご自身の情報が少ないと、効果的な対応方法や解決策を組み立てるのが難しくなってしまうんです。

家族構成、健康状態、通院先、家事能力、生活動作のレベル。使用できるコミュニケーションツール、車の運転可否、趣味は何か。どこで生まれ、現在に至るまでどう過ごしてきたのか。1日、1週間、1カ月の大まかなスケジュールからどんな生活サイクルで日々を過ごし、どんな頻度で、誰に会うのか。
ざっと挙げただけでも、人を知るには多種多様な情報が必要なんだなあというのを感じていただけると思います。

とはいえ、親について上記の内容をすべて知っている方は、ごく少数でしょう。親が高齢になっていく時期というのは、子ども世代にとっては、仕事や子育てでとても忙しい時期に重なります。そのため、親の日課や交友関係をよく知らなかったりすることはままありますし、仮に知っていても、その情報が実家を出た当時のものから更新されていない場合もあります。

また、親には「子どもに心配をかけたくない」という思いから、我が子には悩みや弱音を言わない傾向にあります。そうすると、知りたい情報をなかなか得られないかもしれません。

そこで注目すべきなのは、親の交友関係です。弱音を言える相手には、ちょっとしたお願いもしやすいものです。つまり、親の力になってくれる人というのは、親が弱音を言える人であり、気負わずに「助けて」と言える人なんです。親が誰になら弱音を吐くのか。きょうだいか、同級生か。ご近所さんなのか、サークルの仲間なのか。ご両親の鍵となる人は誰なのかを、生活歴や日々の過ごし方、交友関係をヒントに探っていきましょう。

 
「そうは言っても、どんなふうに話を促せばいいのか…」なんて疑問も浮かんでくるはず。この答えもとってもシンプル。すばり、興味もって会話することです。
ほんの1つの話題についても、「なぜ?」「どうして?」「どうやって?」と「?」マークいっぱいで話を聞いていくと、詳しい情報が自然と引き出せます。

例を挙げてみますと、ご近所の方からの野菜や果物のお裾分け。「そうなの。よかったね」で流してしまえばそれまでで終わってしまいますが、こここそ「?」マークの浮かべ時です。

「誰からいただいたの?」「どこで採れたものなの?」
「よく持ってきてくれるの?」「食べてみた?美味しかった?」

こんなふうに突っ込んで聞いていくと、実はお裾分けしてくれた人が50年来の交流がある同級生で、彼が自分の家の畑で作った作物を、毎月持ってきてくれている、なんてことがわかったりします(もちろん、これは例です)。そうすると、「長年交流がある人と、今でも仲良くして、よく会っているんだ。強い信頼関係もあるみたい。それなら、親の助けになってくれそう」というのがわかるわけです。

「そもそも親と会話がしづらくて…」という人でも、電話がつながりやすい時間、不在がちな曜日、毎週見ているテレビ番組、趣味のサークルの日程を知るだけで、生活サイクルや交友関係を探ることができます。
やはり肝心なのは、興味を持つこと。親のことに興味を持って、行動してみることで、得られるものはたくさんあります。

 
さて、こんなふうにして助けになってくれそうな人を見つけたら、助っ人候補の情報も集めてみましょう。
親切な人かと思ったら詐欺師でした、ということも、残念ながら現代では起こりうるので、念のため確認してみて、信頼できる、力になってくれそうな人だったら、「いつもお世話になっています」というお礼をしつつ、連絡先を伝えてつながっておくのがいいですね。

 
 
人が1人でできることには、どうしても限りがあります。でも、小学校時代の同級生がお茶飲みがてらときどき来る、職場の元部下が遊びに来たついでに電球交換をしていってくれた、風邪で寝込んだときにお隣さんが差し入れをくれた、転倒したときに友達に電話したら救急車を呼んでくれたなど、小さな助けが大きな力になることはたくさんあります。

子どもにとって、親はいつまでも元気でいてほしいものです。そして親自身も、我が子と一緒に、親しい人たちと一緒に、楽しい時間を長く過ごしたいと思っています。
親のことをよく知って、助っ人を見つけて、サポートするネットワークをつくっていくことは、子どもにとって安心の輪を広げることでもあり、同時に、親にとっての安らぎの日々にもつながっていくはずです。
ぜひ興味を持って、助けになってくれそうな人を探ってみてください。

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