2020/05/02
現代において、「認知症」という言葉を聞いたことがある方が大半だと思います。ひと昔前は、「痴呆」と言われていましたね。
しかし、みなさんは認知症を正しく理解しているでしょうか?
時には知らないが故に、偏見を持ってしまったり、あまり良くない対応をとってしまうこともあります。高齢化の進行や平均寿命が延びる現代では、認知症は他人事ではありません。自分がなるかもしれませんし、両親や大切な方がなる可能性もあります。だからこそ、認知症を正しく理解して、認知症と上手く付き合っていく術を知っていただきたいと思います。
1.認知症とは?どんな状態になる?
認知症は、何らかの病気によって、脳細胞が壊れて引き起こされる症状や状態をいいます。物事のある一部分を忘れてしまう物忘れとは違い、その物事自体を忘れてしまったり、以前できていたことができなくなるなど、生活上に支障をきたしていく脳の病気なんです。
認知症で一番多い「アルツハイマー型認知症」では、なくし物が増えたり、何度も同じことを言うようになったり、といった記憶障害から症状が出始めることが多いです。
そんな中で特徴的なことは、最近の出来事は忘れやすいが、昔経験したことは比較的覚えているということ。そこから徐々に、理解力・状況判断能力の低下や、場所や日時がわからなくなる、といった脳の機能全般の低下がみられてきます。それによって、昼夜逆転、徘徊、暴言暴力、うつ状態などの症状が現れます。
そして認知症が重症化すると、会話が成り立たなくなったり、自分で食事や排泄をすることも難しくなったり、身体的には問題なくても、介護が欠かせなくなるという状態になっていくんです。
2.認知症を支える家族について
現在、認知症の方や、その方を支える家族は本当にたくさんいらっしゃいます。私の祖母も認知症でしたが、その当時、認知症について正しく理解していれば、家族としての心の持ちようとできることはもっと変わっていたのではないかと、思い返すと後悔することもあります。
認知症の方を支えている家族は、何回も同じことを言われてストレスが溜まったり、それは違うと正しいことを教えてあげても理解してくれずに、双方険悪になったり、徘徊や予期せぬ行動をとって周囲の方々に迷惑がかかるのではないかと常に不安を抱えたり、と思い悩むことがいろいろあります。それによって精神的に苦労し、認知症の方を施設に入居させる決断をする方も多くいるんです。
3.認知症の方が「問題行動」をとる理由
認知症の方を支えていく上で負担となるのが「問題行動」とされている、昼夜逆転や徘徊、暴言暴力などの言動です。しかし、認知症という病気を患ってしまった方でも、この「問題行動」とされる言動をとるには、ご本人なりの理由があるんです。
(1)急に怒り出してしまうのは、その状況が理解できないから。
認知症によって理解力が低下してくると、
「自分はなぜ今ここにいんだろう?」
「目の前にいる人は誰なんだろう?」
「なぜこんなことをさせられているんだろう?」
というようなことを瞬間的に忘れてしまったり、理解することができなくなってしまう、ということが起こります。そうすると、混乱して、慌てふためいてしまう。それゆえに、怒り出してしまうんです。
もし自分が急に知らない場所に放り出されたら、いきなり知らない人と対峙しなければならなくなったら、意味の分からない行動を取らされたら、と想像すると、怒ってしまう理由をなんとなく理解できるのではないでしょうか。
(2)夕方になるとそわそわして、家から出てしまうのは、昔、大切な自分の“役割”があったから。
認知症による記憶障害があっても、新しい記憶に比べて、昔の記憶は保たれることが多いとされています。夕方になると徘徊がみられるのは、実は昔、家族みんなの晩御飯を毎日欠かさず作っていたり、誰かを迎えにいくのが習慣だったからかもしれません。
徘徊は、目的もなく歩き回っているのではないのです。歩く(どこかに向かう)理由をご本人に訪ねてみると、案外簡単にヒントを教えてくれることもあり、認知症の方が何をしようとして行動しているか、理由を推察しやすいケースもあります。
(3)言われたことがあなたにとって10回目であっても、その人にとっては初めて伝えることだから。
1つ前の項目でも記しましたが、記憶障害があっても、昔の記憶は保たれることが多い。逆に言えば、新しい記憶は忘れてしまいやすい。そうすると、同じことを何度も繰り返し言う、という症状がみられるようになります。
聞いている側にしてみれば、「何度も同じことを言って!」と思ってしまいがちですが、認知症の方にしてみれば、初めて伝えることなんです。また、それだけ何度も言うことというのは、その方にとって大切な思い出か、もしくは本当に伝えたい大事なことなんだと思います。
大切なことを伝えようとしてくれているんだと理解することで、接し方も自然と変わってくるはずです。
このように、認知症を患ってしまったご本人の気持ちに少し寄り添ってみると、「なるほど」「そうだったんだ」と気付けることがたくさんあります。そうして認知症の方の心を知っていけば、その言動を受けた時、かけてあげる言葉が変わってきたり、少し優しくなれる気がしませんか?
4.認知症の方を支えていくためには
認知症の方を支えていくことは、決して簡単なことではないと思います。しかし、認知症の方を偏見なく理解すること、ほんの少し気持ちに寄り添ってあげることで、双方救われることがあります。
認知症を患った方は、記憶や理解力が低下しているため、間違っていたことでも、何度言われたことでも、否定したり、怒ってしまうと逆効果になって、より混乱していってしまいます。受け止める側としては、瞬発的な感情で接するのではなく、一呼吸おいて、肯定してあげたり、寄り添ってあげたりしてみましょう。そうすることで、認知症の方は「わかってくれた」という安心感を得て、「問題行動」が落ち着く場合もあります。
無理をしすぎず、周りに助けを求めながら、認知症と上手く付き合っていきましょう。
コメント
[…] 認知症と上手く付き合っていこう […]
by 認知症を予防する3つのポイント | 高齢者の見守り電話ヒアリング専門 ぐれいとふる・まざー 2020年6月30日 5:21 PM