2020/05/02
ELANとは、指定した動画や音声に細やかに注釈をつけるソフトであり、特に言語学や社会学、心理学などの研究に広く利用されています。
当社では、このELANでの注釈付けのサービスを提供していますが、
※当社のウェブサイトが開きます。
このソフトを用いて高齢者の行動を分析することで、介護の助力となるのではないかと思います。
1. 行動パターンの識別
ELANを使うと、高齢者の日常生活の中での行動に注釈をつけ、その規則性を明らかにすることができます。
例えば、高齢者の自宅での日常的な行動(食事の準備、掃除、読書など)や、公共の場での行動(歩行、買い物、交通手段の利用など)です。
2. 行動の時間的分布
ELANの時間同期アノテーション機能を活用すると、高齢者が特定の行動をどのような時間帯に多く行うか、または少なく行うかを理解することができます。これは、生活パターンの理解や、必要なサポートの時間帯を特定するために有用です。
3. 健康状態と行動の関連
高齢者の行動は、その健康状態と密接に関連している可能性があります。例えば、動作の遅さや頻度の減少などは、体力の衰えや健康問題の兆候を示す可能性があります。これらの観察は、高齢者の健康状態のモニタリングや早期介入に役立つかもしれません。
4. 社会的参加の分析
高齢者の行動分析を通じて、彼らの社会的参加度を評価することも可能です。例えば、他人との対話の頻度や出席した社会的なイベントなどを注釈化し、社会的孤立のリスクを評価することができます。
ただし、前提となる条件があり、それは、高齢者の方の行動・言葉を動画や音声に収録する必要があるという点です。
自宅の中で収録する分にはまだ良いのですが、自宅以外の場所で収録をすることはかなりの難しさを伴います。
また、「収録をする」という非日常の状態によって、高齢者がいつもの言動ではなくなる可能性があります。(バイアスがかかる可能性があります)
最大の問題としては、当該高齢者の許可を得て収録できるのであればよいのですが、そうでない場合、行動分析を行うからと言ってずっとその人を収録するというのは、プライバシーの尊重の面で躊躇せざるを得ないのではないかなと感じます。
このようにクリアすべきことはありながらも、行動分析を行うことによって、当該高齢者が何に困っているのか、何に興味を示すのか、何に対して喜ぶのかなど、QOLの向上・維持に大いに貢献するのではないかと思います。